危険物取扱者乙4合格のためにどのくらいの勉強時間が必要?概要や学習方法を伝授
危険物取扱者乙4とは、乙種第4類危険物取扱者の通称で、灯油やガソリンなどの引火性液体の取り扱いができる国家資格です。
危険物取扱者乙4を取得すると、様々な職種に就くことができ、給料アップも見込めるでしょう。
しかし、「危険物取扱者乙4に合格するために、どのくらい勉強したらいいのだろう?」と悩む方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、危険物取扱者乙4の概要、合格に必要な勉強時間、効率的な学習方法について解説します。これから危険物取扱者乙4の勉強を始める方は、ぜひ参考にしてください。
危険物取扱者乙4の概要
危険物取扱者乙4の正式名称は、「危険物取扱者乙種第4類」と言い、身近な石油類を取り扱えるようになる資格です。
危険物取扱者乙4の受験者は、令和5年時点で153,356人と非常に多く、危険物取扱者の受験者全体の約80%を占めています。
以下では、危険物取扱者乙4の概要を解説します。
試験概要・試験日・試験時間
資格区分 |
国家資格(都道府県知事認定) |
受験資格 |
受験資格はありません。 年齢、性別、学歴等に関係なく、どなたでも受験可能です。 |
試験日程 |
試験日程、会場、願書受付期間は、「一般財団法人消防試験研究センターの試験情報検索」から確認可能です。 |
受験料 |
4,600円(消費税非課税) ※受験料と別途、払込手数料・願書の郵送料がかかります。 |
試験時間 |
2時間 |
試験科目 |
すでに他の乙種危険物取扱者免状を持っている方は、申請により一部試験の免除が可能です。その場合の受験科目は、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の10問のみで試験時間は35分となります。 |
試験内容 |
試験方式は、マークシート方式で、5つの選択肢から解答を1つ選ぶ形式です。 |
持ち物 |
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試験の申し込み方法・申し込み期間
危険物取扱者乙4の受験の申し込み方法は、2種類あります。
願書や必要書類を記入して提出する「書面申請」と、専用のWebサイトにアクセスして必要事項を記入して申請する「電子申請」です。
申し込み期間は、約2ヶ月前から1ヶ月半前の間に行われます。会場により異なるため、詳しくは「一般財団法人消防試験研究センター 危険物取扱者試験」のページでご確認ください。
以下では、書面申請と電子申請についてそれぞれ解説します。
書面申請
危険物取扱者乙4で必要な書類と申請手順について説明します。
必要書類は以下の4点です。
必要書類 |
|
1 |
受験願書 |
2 |
乙種危険物取扱者試験で火薬類免状による科目免除を受ける者は「火薬類免状」のコピー |
3 |
既に「危険物取扱者免状」を取得している者は、既得免状のコピー |
4 |
「郵便振替払込受付証明書(受験願書添付用)」 |
申請手順は、以下の順序を参考にしてみてください。
- 受験する都道府県内の消防署、消防出張所や消防試験研究センター本部・支部などで、受験案内や願書を入手
- 願書に必要事項を記入
- すでに危険物取扱者免状をお持ちの方は、免状をコピーし願書に貼付
- 受験料の4,600円(消費税非課税)を郵便局、あるいは、ゆうちょ銀行の窓口で支払い
- 「郵便振替払込受付証明書(受験願書添付用)」を願書に貼付
- 受験案内に記載された箇所に願書を郵送、または持参
電子申請による申し込みでは、他の種類との複数受験はできません。同時にいくつもの受験をする際は、必ず書面申請で手続きしてください。
電子申請
電子申請は「一般財団法人消防試験研究センター 受験の申請」のページから行います。
画面の指示に従って必要事項の入力を進めましょう。受験料の支払い方法は、以下の4種類です。
支払方法 |
申し込み完了時点の状態 |
クレジットカード |
受付完了 |
コンビニエンスストア(受付番号) |
仮受付 |
ペイジー(情報リンク方式) |
受付完了 |
ペイジー(オンライン方式) |
仮受付 |
仮受付になった場合、所定の支払い方法に従い、支払いを完了させてください。
書面申請、電子申請ともに受験票は試験日の10日前ごろに郵送されます。受験日前6ヶ月以内に撮影した縦4.5cm、横3.5cmの写真を1枚用意し、裏面に必要事項(氏名、年齢、及び撮影年月日)を記入して受験票にのり付けしてください。
危険物取扱者の種類
危険物取扱者の資格には、甲種・乙種・丙種の3種類があります。最も難易度の高い甲種を取得すれば、すべての危険物の取り扱いが可能です。
乙種は第1類~第6類にわけられており、それぞれ扱うことができる危険物の種類が異なります。また、丙種では乙4類に含まれる一部の危険物のみを扱うことができます。
危険物乙4の合格基準・合格点
危険物取扱者乙4は、3科目全て60%以上正解すると合格です。
「危険物に関する法令」で15問中9問以上、「基礎的な物理学及び基礎的な化学」で10問中6問以上、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」で10問中6問以上正解すると合格です。
また、1科目でも正解率が60%未満だと他の2科目が満点でも不合格になってしまいます。
危険物取扱者乙4の合格にどのくらいの勉強時間が必要?
危険物取扱者乙4の合格には、40〜60時間の勉強が必要と言われています。1日1時間勉強すれば約2ヵ月間で合格することも可能です。
以下では科目別の勉強時間を解説します。
勉強時間①:危険物に関する法令
「危険物に関する法令」の勉強時間の目安は20時間です。「危険物に関する法令」では、法律に関しての知識を問う問題が出題されます。
難しい単語での問題が多く、数字や覚えることが多い科目で、ビジュアルをイメージしながら覚えていくことがおすすめです。
暗記科目が得意な方は、勉強時間が20時間未満でも問題ありません。
勉強時間②:基礎的な物理学及び基礎的な化学
「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の勉強時間の目安は20時間です。
「基礎的な物理学及び基礎的な化学」では、物質の三態や水、空気についてなどの基礎物理学、物質の変化、物質の構成などの基礎化学に関する問題が出題されます。
計算問題と知識問題があるため、計算問題に苦手意識がある方は、勉強時間を費やして克服する必要があります。
勉強時間③:危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の勉強時間の目安は20時間です。
「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」では、ガソリン、軽油、灯油、重油などの性質に関する問題が出題されます。
知識問題が多いため、複雑なものや応用的なものは出題されにくい傾向にあり、通勤・通学時間などのスキマ時間で学習できます。
危険物乙4の勉強時間を減らせる学習方法
上記では、合格のためにどのくらい勉強したら良いかを解説しましたが、「少しでも勉強時間を減らしたいなあ」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
以下では、勉強時間を減らせる学習方法を7つ紹介します。
試験対策ができる教材を使う
試験科目、物理・化学・法律と知識の幅が広いため、普通に勉強すると膨大な時間がかかります。
そのため、試験対策ができる教材で学習することをおすすめします。近年の出題傾向を把握し、頻出問題から覚えていくことで効率的に勉強できるでしょう。
毎日勉強する
危険物取扱者乙4に合格するには、毎日勉強することが重要です。
1日10分でも勉強することで繰り返し問題を解くことに繋がり、知識が定着します。
短い期間で知識を詰め込もうとする方もいますが、毎日少しずつ勉強する方が結果的に学習時間を縮めることにつながります。
模擬試験を行い、弱点を知る
模擬試験を受けることで自分の弱点を知れます。
闇雲にずっと勉強するよりも自分の苦手部分を理解し、勉強する方が早く合格に近づけます。模擬試験の受験後は、面倒くさがらずに見直しを行い、勉強方法の改善を行いましょう。
重要単語を工夫して覚える
重要単語を工夫して覚えることで勉強時間を短縮できます。
危険物乙4の試験では、暗記が必要な問題が約6割あります。重要単語を暗記するために、語呂合わせなどの覚え方を活用してみてください。暗記では、語呂合わせやイラストなどが多い教材の使用をおすすめします。
苦手科目をつくらない
危険物乙4に合格するには、苦手科目を作ってはいけません。
なぜなら、全ての科目で60%以上正解しないと不合格だからです。不得意科目をつくらないようにどの教科もバランスよく勉強しましょう。
常に得意な科目、不得意科目を意識して勉強することで勉強時間を増やさずに済みます。
危険物乙4に合格後の自分を想像する
合格後の自分を想像することでモチベーションを維持でき、勉強に打ち込めます。
2~3ヶ月間、常に高いモチベーションを保ちながら勉強することは簡単ではありません。
どんな人も勉強のやる気がある時、ない時があるでしょう。やる気が出ず、勉強しなくなってしまうとその遅れた分を挽回する必要があるため、勉強する時間が増えてしまいます。
常に合格後の自分や、合格後にやりたいことを想像することで、やる気に左右されずに勉強できるようになります。
合格者からアドバイスを受ける
合格者からアドバイスを受けることで、他の受験生と差をつけられます。
合格者からアドバイスを受けるメリットは、以下になります。
- 合格者だからわかる最適な勉強方法を知れる
- ひっかけ問題など試験中の注意点を事前に把握できる
- 合格者の働き方を知り勉強のモチベーション向上になる
周りに合格者がいないという方は、先に就職をしてしまうのも手段です。
例えば、セーフティーオイルトランスポートでは、資格取得補助制度があるため、サポートを受けながら危険物取扱者乙4の資格取得が可能です。
現在活躍中の社員の大半は未経験からのスタートでしたが、資格取得支援などの制度を活用することでキャリアアップした社員が多く在籍しております。
未経験の方でも安心して働けるよう教育体制を整えているため、転職や資格取得のご相談をお待ちしております。
危険物取扱者乙4に合格するためのポイント
危険物取扱者乙4に合格するには、知っておくべき重要ポイントがあります。
以下では、「試験前の合格のコツ」と「試験中の合格のコツ」の2種類を解説します。
試験前の合格のコツ
試験前の勉強期間で気をつけるべきことを3つ紹介します。
過去問を解くだけはNG
過去問ばかり解いていると、新しい知識の問題に回答できない、問題文が変わると誤答してしまうということがあります。
そのため、過去問を解くだけではなく、各科目の知識を体系的に学習するようにしましょう。
偏った知識だけを暗記していると、資格取得後、仕事をする際に非常に困ります。
人に教えることで知識定着させる
アメリカ国立訓練研究所は、他人に教えることで学習定着率が90%になるという研究結果を出しています。
勉強した内容を人に教えるには、正確な知識を理解しておかなければなりません。人に教えることを繰り返すことにより、知識の理解度が上がり、自然と知識が定着します。
自分にあった勉強法で学習する
危険物取扱者乙4の内容を学習する方法は、たくさんあります。
その中から、自分に合う勉強法を早く見つけて、勉強を行うことで合格に近づくでしょう。
通信講座による学習、参考書を活用した独学、対面講義による学習などがありますが、これまでに成果の出た勉強方法を選択することをおすすめします。
試験中の合格のコツ
試験中に気をつけるべきことを3つ紹介します。
わからない問題があっても焦らない
近年の傾向と異なる問題が出題される可能性もありますが、わからない問題があっても焦る必要はありません。
前途したように、全体の正答率6割を超えていれば合格できます。そのため、わからない問題は、後で回答するようにしましょう。他の問題を解いていく中でわからなかった問題がわかるようになる可能性もあります。
わからない問題も出題されることを想定して試験に臨むようにしましょう
問題の変更がないか確認する
試験開始直後、問題用紙の設問の変更がないか確認するようにしましょう。
マークシート形式の試験のため、マークミスが命取りになります。
危険物乙4は独学でも合格可能?
結論、危険物取扱者乙4は独学でも合格可能です。
しかし、仕事をしながら独学で学習することは非常に大変かと思われます。勉強する時間を決めて、資格取得のため勉強時間を割くという強い意志が必要です。
また、独学の場合、勉強方法や専門用語がわからないこともあると思います。そのため、合格者からのアドバイスをもらえる環境が身近にあると悩みを簡単に解決できるためおすすめです。
危険物取扱者乙4を取得する4つのメリット
乙4は危険物取扱者の資格の中で最も幅広く役立ち、人気のある資格です。
危険物を取扱う職種では就職に有利になる場合が多く、可燃物を取扱う職場では必要な人材となっています。
以下では、危険物取扱者乙4を取得する4つのメリットを紹介します。
収入アップにつながる
危険物取扱者の資格を取得すると、収入がアップするケースがあります。
月給制の場合、月1,000〜3,000円、時給制の場合10〜30円程度のアップとなることが多いです。年間で考えてみると数万円アップになるため、生活にゆとりができる方もいるかと思います。
また、企業により、資格手当や奨励金を受け取れるケースもあります。会社からのサポートを受けながら、資格取得できるのでとてもコスパの良い資格といえます。
転職活動に有利になる
転職先としてガソリンや軽油、灯油などの引火性の液体を取り扱う企業を考えている場合、危険物乙4の資格があれば現場で即戦力になれるでしょう。
また、危険物乙4の資格を持っていれば面接で好印象を持たれて、採用の可能性が格段に上がります。
危険物取扱者の資格を必要としない求人でも、資格取得者は転職活動において有利になり、応募した企業の仕事に直接関係がなくても、自分で考えて努力ができることをアピールできます。
職業の選択肢が広がる
危険物取扱者乙4の資格を生かせる必要な職業は数多くあります。
- ガソリンスタンド
- 石油の運搬
- 貯蔵企業
- 塗装業
- 外装工事業
- 塗料メーカー
- 塗料販売店
特にタンクローリーや危険物を運搬する仕事は、危険物取扱者の資格が必須です。 タンクローリーの運転手は、専門性が高いため業務を行うため需要があり、一般的なトラックドライバーと比べて年収が高くなる傾向があります。
重要な業務を任されやすくなる
危険物取扱者乙4の資格を持つことで重要な業務に就く可能性が高まります。
危険物に詳しい人材として貴重な存在となり、甲種・乙種の資格があれば、「危険物保安監督者」になることができます。
責任ある業務を行うためにも危険物取扱者乙4の資格取得は大切です。
危険物乙4を取得して理想のキャリアを
本記事では、危険物取扱者乙4の概要、合格に必要な勉強時間、効率的な学習方法について解説しました。
危険物取扱者乙4合格のためにどのくらいの勉強時間が必要なのかや、効率的な学習方法だけでなく、危険物取扱者乙4を取得してキャリアに生かすメリットもわかっていただけたかと思います。
ぜひ資格取得後の将来を想像して、モチベーションを高めながら勉強してください。くじけそうになったら、資格取得者や職場の先輩にアドバイスを受けるのも手段です。