長距離ドライバーの労働時間は?2024年法改革後の労働条件と取得すると有利な資格
「長距離ドライバーって忙しすぎて、なかなか自宅に帰れないの?」
「長距離ドライバーの2024年問題ってなに?」
長距離ドライバーになりたい人で、このように思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論、長距離ドライバーは、会社により働き方がそれぞれ違います。
本記事では、長距離ドライバーの労働時間や、2024年の法改定について解説します。長距離運送ドライバーの働き方事情に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
長距離ドライバーの労働時間改正
長距離ドライバーと聞くと、労働時間が長いイメージを持つ方もいるでしょう。
実際、長距離ドライバーとは300km以上走る仕事を指します。そのため、必然的に労働拘束時間が長くなる傾向です。
しかし、過酷な労働環境では事故を起こす原因にもなるため、厚生労働省は、運送業の労働基準法を定めています。
参考:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント|厚生労働省
基準ポイントは主に以下の通りです。
- 長距離ドライバーの1日拘束時間は13時間
- 長距離ドライバーの運転時間
- 長距離ドライバーの休憩時間
- 長距離ドライバーの休息と休日
長距離ドライバーの1日拘束時間は13時間
長距離ドライバーの1日の拘束時間は労働基準により13時間と決まっており、1か月の総計は293時間です。拘束時間とは、「労働時間+休憩時間」を指し、作業をしていない待機時間であっても労働時間(=拘束時間)とみなされます。
また、拘束時間と拘束時間の間に休憩時間を8時間以上確保していれば、最大16時間まで延長できる規定があります。この規定を適用した場合、拘束時間が15時間を超えて良いのは1週間に2回までです。
長距離ドライバーの運転時間
拘束時間の中で運転ができる時間にも決まりがあります。実際にトラックを運転できるのは2日間(始業開始から48時間)の平均が9時間までです。たとえば、昨日10時間運転した場合、今日は8時間までしか走れません。
また、2週間を平均した1週間当たりの運転時間は44時間が上限です。
長距離ドライバーの休憩時間
先にお伝えしたように、長距離ドライバーの拘束時間は1日13時間が上限ですが、その間ずっと運転をして良いわけではありません。
連続して運転できる時間は4時間までで、4時間運転したあとは30分以上の休憩が必要です。
長距離ドライバーの休息と休日
長距離ドライバーには、休息と休日の基準も定められています。
休息とは、勤務が終わり次の勤務につくまでのインターバルの時間です。休息時間は、1日8時間以上としています。連続した8時間が必要で、4時間×2回にするなど分割はできません。
休日とは、休息時間より長い休みで「休息+24時間」です。いかなる場合でも30時間を下回ってはいけないという規定がありますが、実際は休息8時間+24時間の合計32時間が休日に当たります。
なお、休日労働は2週間に1回までが限度で認められています。
長距離ドライバーの労働時間の特例
長距離ドライバーの労働基準についてお伝えしましたが、労働時間の制限に「特例」も定められています。4つの特例を解説するので、参考にしてください。
分割休憩(仮眠)
運送業界では、交通事情や災害などにより、連続8時間以上の休息を取得するのが難しい場合があります。その場合、特例として2〜4週間のみ、休息を分割して取得できます。
分割して休憩を取得する場合、休息時間が4時間以上で、合計10時間以上が必要です。
例えば、午前中に集荷があり、お客様の納品希望時間が夜の場合、8時間の連続した休息を取得するのが難しくなります。そのため、昼間に4時間以上の休息時間を取るのが適用されます。
2人乗務の特例
トラック1台にドライバーが2名乗車する場合、1日の最大拘束時間と休憩期間の規定が変更されます。
拘束時間 |
休息時間 |
|
1名 |
13時間 |
8時間 |
2名 |
20時間 |
4時間 |
ただし、トラック内に身体を伸ばして休息できる設備がある場合のみ特例が利用できます。
隔日勤務の特例
業務上やむを得ない場合、期間限定を前提として、1日おきに勤務する隔日勤務が認められています。隔日勤務を行うには以下の条件を満たす必要があります。
- 2暦日における拘束時間が、21時間を超えない
- 勤務終了後、継続して20時間以上の休息期間を取得
また、事業所もしくはドライバーが確保した仮眠施設で、夜間に4時間以上の仮眠時間の確保できる場合、2週間に3回を限度に拘束時間を24時間まで延長できます。
フェリー乗船の特例
ドライバーが勤務中にフェリーを利用する場合、乗船中は休息時間に当てられる特例です。休息期間の8時間から乗船時間をマイナスできます。
長距離ドライバーが長時間労働になる3つの理由
厚生労働省が明確に労働基準を定めているのに、なぜ長距離ドライバーは長時間労働になってしまうのでしょうか?3つの原因について以下で解説します。
①荷待ち時間
荷待ち時間とは、貨物を積み込んだり、降ろしたりする待ち時間です。荷卸しが集中する時間帯は、トラックが行列になり荷待ち時間が発生します。
有限責任監査法人トーマツが令和3年に発表した「トラック運転者の労働時間等に係る実態調査事情」では、運送事業者の約7割に荷待ちが発生していると回答しています。
また、国土交通省の「トラック運送業の現状等について」によると、1運航の荷待ち平均時間は、約1.5時間と発表されています。
②道路状況に影響される
道路状況に影響されるのもトラックドライバーの拘束時間が長くなる理由のひとつです。道路状況とは、事故や工事による交通渋滞だけではありません。異常気象による天候の影響も運送計画に大きく影響します。
道路が封鎖されたり、規制があったりすると、運送予定が大幅に遅れてしまい、拘束時間が長くなる場合があります。
道路の状況や天候は個人で予測できないため、予期せぬ長時間労働になるでしょう。
③人手不足
トラック業界の人手不足は蔓延しており、運送会社は残業や休日出勤を依頼して乗り切らざるをえない状況があります。人手不足の主な理由は、ドライバーの高齢化です。
国土交通省がまとめたトラックドライバーの平均年齢は、全職業の平均より約3〜17歳ほど高いデータが発表されています。
トラックドライバーの高齢化の原因は以下です。
- 若者の自動車離れ
- 労働環境に過酷なイメージを持つ人が多く、若手が就職しない
運送業界は、インターネットの普及により宅配が増え、今後さらに人手不足を加速させるでしょう。
長距離ドライバーが労働時間を超えるリスク
長距離ドライバーの労働環境やトラック業界の人手不足により、長距離ドライバーが労働時間を超えるリスクがあります。
ドライバーの労働時間が上限を超えると、ドライバーだけでなく雇用側にとっても大きなリスクを背負います。起こりうる主なリスクは以下です。
- 事故発生率の増加
- ドライバーの過労死
- 雇用主とドライバーの衝突
上記の起こりうるリスクを回避するために、2024年に長距離ドライバーの働き方改革が施工されます。
【2024年改定】長距離ドライバーの働き方改革で懸念される影響
2024年4月1日に施行される働き方改革により、ドライバーの年間残業上限時間が960時間に制限されます。それにより、発生する問題は以下です。
- トラックによる物流量が減る
- ドライバーが現状よりも稼げなくなる
- 給料の軽減によりドライバー数が減る
運送会社はトラックの稼働時間の減少に伴い、違反すると行政指導が入るリスクも高まります。
荷主は運賃の増加で、最終的に物流コストが上がり消費者の負担が大きくなる可能性もあるでしょう。また、手間や時間がかかる貨物は、運送会社から敬遠されがちになり、荷主より運送会社の立場が強くなるかもしれません。
これらの問題に対処するため「荷待ち時間削減のための予約システム」や「勤怠管理システム」の導入が進められています。
長距離ドライバーのよくある質問
これから長距離ドライバーを目指す方に向けて、よくある質問を解説します。
トラックの大きさにより免許が変わりますか?
乗車するトラックの大きさにより、必要な免許が異なります。
種類 |
必要な資格 |
説明 |
4t |
中型免許 |
・近距離 ・片道200km以下の距離で一度に複数の届け先に配送する分、積み下ろし作業が多い |
8t |
大型免許 |
・中型 ・見た目は4tと変わらないが最大搭載量は8t ・片道300km程度の範囲で泊まりを伴うこともある |
10t |
大型免許 |
・遠距離 ・大型トラック ・片道300km以上を走る仕事で、納品先が複数になることは少なく積み下ろしの回数も少ない |
トラックドライバーは、中型免許・大型免許が必要になり、走る距離が長い分、拘束時間も長くなります。
仕事中に仮眠は取れますか?
はい。取れます。休息時間は1日に8時間以上連続して取得する必要があるため、車内で仮眠を取るドライバーが多いです。
ホテルは、大型トラック用の駐車スペースがないことが多く、またチェックインの時間が早朝や深夜だと宿泊が難しいケースがあります。そのため、仮眠は車中で取ることが多くなります。
長距離ドライバーは上手く休みを取れますか?
長距離ドライバーは長いと1週間近く帰宅できない場合もあります。地方を転々と移動するため、決まりきった場所で休暇を取るのは難しいでしょう。
また、慢性的なドライバー不足を考えると好きなタイミングで休暇を取得することは難しいと言えます。
労働時間を改善したいならタンクローリードライバーへの就職
長距離ドライバーは労働時間が長く、その分稼げる職種でもあります。しかし2024年に施行される労働条件の改定で今後は長時間労働が見直され、今までのように稼ぐのは難しくなるでしょう。
そこでおすすめなのが、タンクローリードライバーです。タンクローリードライバーは、液体や高圧ガスなどを運ぶ短距離の仕事です。必要な資格を取得すれば高い給与を目指せます。
セーフティーオイルトランスポートでは、入社後に資格取得の支援を受けられます。また、女性比率が多い職場なため、女性でも働きやすい環境が整っています。
トラックドライバーからタンクローリードライバーに転職したい方は、ぜひ相談ください。